| 息子の4回目の誕生日 |
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| 12月2日は息子の誕生日であるが、部活動の試合のある日で、どこにも連れて行って上げられない。かわいそうだけど、夜、外食で終わりかなあ・・。
ところで、4年前のその日の出来事を克明に記した文が、パソコンのハードディスクから見つかったので、アップしてしまいます。これは以前、年賀状のねたにもしたことがあったのだけど、こっちのが完成度が高いと思われます。
<新しい生命の誕生秘話> 2003年12月2日 前日に、妻は、陣痛を促進するための施術を受けていた。周期的に下腹部に痛みが伴っていたものの、今ひとつ陣痛と呼ぶにはパンチの弱いものであった。その日、出産の可能性が高かったため、私は仕事を朝から休んでいた。子供を幼稚園に送り届け、私が病院に着いたのは午前10時ごろであった。 私が妻のいる病室に到着すると、妻は点滴を受けていた。どうやら、陣痛促進剤の投与が始まっているようだった。主治医が、促進剤の使用にあまり前向きでない人物だった故の前日の施術であったが、胎児の体重が3500gを越えているため、“使用やむなし”との最終的な判断であった。
すでに陣痛の初期段階に入っていた。 NIPROという医療機器メーカーのCMで、「君の元気―は僕の元気―だ」というBGMにのりながら、分娩室に向かう妊婦が「臍帯血、使ってくださいね」と言うシーンがある。常々、妻は「妊婦にあんなこという余裕なんてあるわけない」と、かのCMをあざ笑っていたので、枕元で「ほらお母さん、臍帯血つかってくださいって言ってみて」と言ったら、「ふざけんな」とおこられる。 促進剤の投与される点滴は、液晶パネルで投与のペースが表示される機械仕掛けのものだった。11時半過ぎ、かなり陣痛の間隔が詰まって来たところに、医者があらわれ、「夕方をめどに産んじゃいますか」とボソッというと、まるでエアコンの設定温度を変えるがごとく、点滴の機械のつまみを「ものすごく」ひねった。(大体、その機械の目盛りの単位が分からないから、どのくらい量を増やしたかはわからないけど、ものすごかった) すると、妻の容態が急変した。この状況は、「容態が急変した」という形容が適当な状況ではないような気もするが、でも事実そうだった。「ぐわあああ、いってええええ」といきなり妻は苦しみだした。どうやらイキミたいらしいが、そこまで煮詰まった状況でもないらしい。看護士によると、もうちょっとかかると言うことであった。仕方なしに、周期的に起こる陣痛にあわせながら、腰をさすってあげたりした。 しかし、時計が12時に近づくと、陣痛はいよいよ激しさを増したようであった。妻が看護士を呼んでくれと言うので、ナースコールを使って呼び寄せた。やってきた看護士は「ううん、まだちょっと早いんだけどね」と、判断を迷っているようであった。しかし、容赦なく激痛が妻を襲う。自体は膠着していた。 すると、部屋のドアが開いた。私はそこで、この状況となんともミスマッチなものを目にしたのだった。ドアの向こうには、白い割烹着を着たおばさんが、妻のための昼食をお盆に載せて立っていたのだった。「お昼をおもちしたんですけど」職務に忠実なそのおばさんが言った。「でも、(食べるの)無理ですよね」 お盆の上には、暖かいかけそばと6~7品はありそうなてんぷら、そして茶碗蒸しだった。「あったかいおそばなので、延びちゃいますから、だんなさん召し上がっていただけませんかね」と、おばさんは言った。確かに私は腹が減っていた。ご飯ものだったら後で食べるのもいいが、温かいそばだから、今食べてしまったほうがいいのではないか、という考えが浮かんだ。確かに、妻が私の横で陣痛に苦しんでいる。しかし、私が気兼ねしてそばを放置したとしても、陣痛が和らぐわけでもない。そのうえ、そばはどんどんのびていく。妻に対する、道義上の責任を果たしながらそばを食う方法はただひとつ。それは、大口で食べることだ。 私は意を決し、割り箸を手に取った。信じられない量のそばを箸でたぐって、口の中に放り込んだ。「う・・うまい」妻の悲鳴がこだまする部屋の中で、こんな感想を持つのははなはだ不謹慎だが、朝からまともなものを何も口にしていない自分にとって、あまりにうますぎた。もう一口そばの塊を箸でたぐり、口の中に放り込む。この病院のそばよりまずい蕎麦屋を私は知っている。病院の食事よりまずい蕎麦屋など直ちに閉店すべきだが、この病院の食堂の実力は評価できる。 妻への気兼ねから、一人前のそばを4口で平らげた。天ぷらも嫌いなサツマイモの天ぷら以外は全部食べた。しかし、茶碗蒸しには、妻の前で手を伸ばす勇気はなかった。
私がほぼ完食してから5分後、妻は分娩室に連れて行かれた。40分後に、3500超の大きな赤ちゃんが生まれた。
実は、その40分の間に、茶碗蒸しを食べたことを報告しておこう。(了)
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11月21日(水)14:02 | コメント(0) | 趣味 | 管理
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